手の痛みとしびれ

1. 腱鞘炎

図E-1: 腱鞘

手の痛みを起こす疾患で日常に多くみられるのが腱鞘炎です。

腱鞘というのは腱が通るトンネル状の組織で、腱が浮かび上がるのを防ぎます(図E-1)。
腱と腱鞘が擦れあって炎症をきたしたものが腱鞘炎ですが、その原因は腱鞘が狭くなるとともに、腱が腫れて太くなることがわかっています。腱鞘炎の手術は腱鞘を切り開くだけですが、これでは腱鞘の存在が無意味になってしまうため、リハビリや外用薬・内服薬・注射等、手術をしない治療が望ましいところです。

図E-2: 手根管

2. 手根管症候群

手のしびれは様々な原因によって起こります。このうち手の疾患で有名なのが手根管症候群です。手根管は手首の手のひら側にあり、屈筋腱とともに正中神経という太い神経が入っています(図E-2)。手根管内の腱が腫れると正中神経が圧迫され、手のしびれや知覚障害、親指の筋力低下などが起こります。