ひざの痛み

図B-1: 変形性関節症

高齢者の膝の痛みの多くは、軟骨がすり減ることによる変形性関節症です。一般に軟骨が減るのは膝の内側から起こるため、膝の変形はO脚、つまりガニ股を呈することがほとんどです(図B-1)。

軟骨がすり減ると骨同士が擦れあうようになり、人間の体は摩擦を減らそうとして関節液を増やします。この現象が「膝に水が溜まる」と呼ばれているものですが、潤滑剤を増やそうとしているのですから、溜まった水を注射で抜けば、体側は一層関節液を溜めようとしてイタチごっこになってしまいます。したがって最近は、むやみに膝に溜まった水を抜くことはしません。

もともと関節液にはヒアルロン酸が含まれ粘り気があるのですが、変形性関節症の関節液はヒアルロン酸の濃度が下がって粘り気のない、さらさらした液体になり潤滑作用が低下します。このため最近はヒアルロン酸を注射して濃度を高め、関節液の粘り気を回復させる治療が行われています。