ロコモティブシンドローム:健康に長生きするために
ロコモティブシンドロームは、「運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態」をいいます。「ロコモ」とは運動器のことですから「運動器症候群」と言い換えることができます。具体的には骨、筋肉、軟骨といった運動器のどれかに障害が起こって、歩行や日常生活の動作に何らかの支障をきたしている状態です。
日本は世界でもトップクラスの長寿大国になりましたが、長生きできても運動能力の低下で寝たきりになるなど、健康な生活が送れなければ幸福な老後とは言えません。元気に年を重ねるために何が必要か、運動器障害の予防のために何をすべきかを知ることは大切なことです。
ロコモティブシンドローム、すなわち運動器の障害を予防するためには暮らしの中に運動習慣を取り入れるといいのですが、一度にたくさんの運動を習慣化しようとしても続きません。まずはたった二つの運動から始めることです。これら二つの運動を習慣化したあとで、徐々に毎日行う運動の種類を増やしてゆけば、自然に運動を日常生活に取り入れることができます。
ロコモ基礎運動1:バランス能力をつける片脚立ち(図5-1)
まっすぐな姿勢のままで片足立ちします。
左右1分間ずつ、1日3回行いましょう。
支えが必要な人は、机に両手や片手をついて行います(図5-2)。
図5-1: 片脚立ち
図5-2: 机に両手や片手をついて
ロコモ基礎運動2:下肢筋力をつけるスクワット
1.肩幅より少し広めに足を広げて立ちます(図5-3)
2.お尻を後ろに弾きながら膝を曲げて、前屈みの姿勢になります(図5-4)
1➡2を深呼吸をするペースで、5~6回くり返します。1日3回行いましょう。
スクワットができないときは椅子にこしかけ、机に手をついて立ち座りの動作をくり返します(図5-5)
図5-3: 肩幅より広めに足を広げ
図5-4: 前屈みの姿勢
図5-5: 机に手をついて立ち座りの動作
(ロコモ体操の図は日本整形外科学会ロコモパンフレットより引用)